【地震調査】北海道胆振東部地震の被害概況

【地震調査】北海道胆振東部地震の被害概況

先日、北海道胆振東部地震による建物の被害調査のため、北海道を訪問して参りました。

全ての地域をみて回れたわけではありませんが、今回は北海道胆振東部地震による建物被害の特徴について、管理人が気付いた点について備忘録的に記載しておこうと思います。

被害の特徴

今回の北海道胆振東部地震では、テレビなどのメディアで大きく取り上げられている地滑り(土砂崩れ)、液状化現象が非常に特徴的な被害であったと言えます。

そして、この二つの被害のうち、地滑りに関しては想定外の被害であったと言えるでしょう。

と言うのも、液状化現象については各自治体がハザードマップを作成し、危険性について公表しておりますが、地滑りに関してのハザードマップは通常の降雨時の土砂崩れに関するものしか想定されておらず、地震や降雨+地震の場合の危険性は全く検討されていなかったのです。

しかし、これが悪かというと、そうとは言い切れず、大きな地震があるごとに、大きな想定外が発生し、その都度改善を繰り返しているのが地震工学と建築学なのです。

例えば、阪神淡路大震災では火事と木造住宅の耐震性、東日本大震災では津波と複数震源による広域被害、熊本地震では大規模地震の連発など、毎回何かしらの被害の特徴があり、そしてその被害の特徴は想定外であったからこそ大きな被害が生じてしまったとも言えます。

今回の地震においても大きな課題が見つかったと言え、今後の課題として取り組みがなされることと思います。

建物の被害

では実際に建物へはどんな被害が生じた傾向にあるのでしょうか。管理人は屋根の被害が少ないことが非常に印象的でした。

屋根の被害が少ない

通常、地震による建物被害の特徴としては、屋根の被害が非常に多く、瓦を用いた建物の大半が被害を受けていると感じてしまうほどです。

屋根に被害を受けた建物は、応急処置として屋根をブルーシート覆うことが一般的ですが、今回の北海道胆振東部地震では屋根をブルーシートで覆っている建物は見受けられませんでした

これは、北海道特有の住宅事情によるもので、瓦を用いた住宅がほとんどないことに起因しています。

言い換えると、瓦を用いた住宅は地震に弱く、また、他の材料を用いた屋根は地震で被害を生じにくい傾向にあることが顕著に現れたと言えます。

このことからも瓦の耐震性はまだまだ十分ではなく、耐震性の更なる向上は今後の課題であると言えるでしょう。

従来通りの被害もある

もちろん、従来と同様の被害も発生しています。例えば、自動車販売ディーラーのショールームの大きなガラスにおいては、毎回ガラスの破損被害が生じており、この被害は今回の地震においても同様に発生しました。

被害発生の主な理由は、昔用いられていた取付け方では非常に地震に弱いことや、現在の取付け方でも地震への強さは設計による要素が大きいため、設計の配慮不足が多いことが挙げられますが、使用されている量が多いこともあり、被害がなかなかなくならないのが実態です。

また、今回の地震ではあまり見受けられませんでしたが、高層ビルなどのガラス被害も毎度発生しています。この場合、高層階からガラスの破片が降り注ぐこととなり、大きな怪我などにつながってしまうでしょう。

地震が発生した時、焦って建物外へ避難してもガラスが降り注いでくる危険もあるため、避難の際には必ず周囲の安全を確認するようにしましょう。

軽微な被害は冬場に発覚する可能性も

今回の地震では上記のように目立った損傷を免れた建物が多かったように見受けられます。

しかし、大きな損傷がなくとも北海道特有の住宅事情から、大きな問題へ発展する可能性は十分に残されています。

地震後の建物には目につかないようなき裂や隙間が発生しています。そしてこのき裂や隙間は、断熱性を大きく悪化させる原因となるでしょう。

と言うのも、建物の断熱性能は、外壁材などの熱伝導率、断熱材の性能・量、建物の密閉性の高さで決まりますが、地震によるき裂などで建物の密閉性が損なわれてしまった時には建物が本来持ち合わせている断熱性能も損なわれてしまうと言えます。

これは暖房を使用する時季になって初めて発覚することが多いですが、多数の建物で同時期に発覚した場合、補修等の業者が手一杯となりなかなか補修してもらえない事態も想定されます。

断熱性の低下は北海道では死活問題になりかねないため、極力早い段階でセルフチェックしておくと良いでしょう。

簡単な内容としては以下の2点に注目し、外壁周りを一周してみるとよいと思います。

  • 外壁に小さなひび割れがないか
  • 外壁や他部材との間のシーリングに割れなどはないか

なお、断熱材は水に濡れると性能が大きく低下します。したがって、き裂などからの雨漏りで断熱材が濡れてしまうと断熱性がより大きく損なわれてしまいますので、たかが隙間と馬鹿にせずに早めのチェックをオススメします。

まとめ

  • 北海道胆振東部地震は地滑りと液状化現象が特徴的だった
  • 北海道の住宅事情により屋根の被害は非常に少なかった
  • 冬に入る前に外壁周りのセルフチェックが必要

北海道胆振東部地震によりお亡くなりになられました方々のご冥福をお祈りするとともに、被災された皆さま、ならびにそのご家族の皆さまに心よりお見舞い申し上げます。

一日も早い復旧、復興と被災された皆さまのご健康を心からお祈り申し上げます。