【戸建て・マンション】鉄筋コンクリート造での手抜き・欠陥(躯体編)

【戸建て・マンション】鉄筋コンクリート造での手抜き・欠陥(躯体編)

鉄筋コンクリート造の建物は、一般に地震に強いと言われています。ただし、それは適切な設計が行われ、かつ、手抜き・欠陥などがない場合に限られるでしょう。仮に欠陥などがあった場合、小さな欠陥であっても、地震などの影響により、多額の補修費用が発生してしまうことも考えられます。特に住まいの安全に関わる建物の骨組み(躯体)に関する欠陥には注意が必要です。しかしながら、躯体に関する欠陥は、建物が完成してしまうと見えなくなってしまう部分ですので、注意するにしても難しいのが現状です。そこで今回は、鉄筋コンクリート造の住宅(新築・中古共)の躯体における欠陥と、注意を払うべきポイントについてお話したいと思います。
※この記事は以前の記事に対する補足として作成しました。以前の記事と一部重複する部分があります。

躯体の欠陥

鉄筋コンクリート造における躯体の欠陥として、以下のものが挙げられます。

  • 鉄筋本数の不足
  • 鉄筋のかぶり厚さの不足
  • 鉄筋の定着長さの不足
  • 鉄筋の継ぎ足し(圧接)部分の不良
  • コンクリートの充填不良
  • コンクリート打設時の天候
  • コンクリート打設後の型枠脱型(取り外し)時期

鉄筋本数の不足

これは単純に、指定された鉄筋量に足りていないことを指しています。しかし、ニュース等でも話題になった事件以降、わざと鉄筋を抜く人はいないと思います。ただし、開口部(窓など)の部分の開口補強筋や、壁や基礎の端部やコーナー部分の補強筋などの鉄筋量は、建物の設計者により考え方が違うこともあります。これらの部分において、よく確認しないまま「いつも通り」に工事を行なってしまうと、思いもよらぬところで「手抜き工事」になってしまう可能性があります。

鉄筋のかぶり厚さの不足

鉄筋コンクリートの中に配筋されている鉄筋は、通常、防錆処理(錆止め)がなされていません。これは、コンクリートの強アルカリ性により、鉄筋の酸化を防止しているため防錆処理が不要になっているのです。そして、鉄筋のかぶり厚さとは鉄筋の表面からコンクリート表面までの距離のことをいい、簡単に言うと、「鉄筋がどれくらいコンクリートをかぶっているか」ということです。また、コンクリートは経年により表面から徐々に中性化(防錆機能を失う)していく材料で、コンクリートの厚さが厚ければ厚いほど、中心まで中性化するのに時間が掛かります。つまり、鉄筋に適正なかぶり厚さがないと、コンクリートによる防錆機能がすぐに切れてしまい、10年後、20年後には鉄筋が錆びてしまうおそれがあるということです。

鉄筋の定着長さの不足

鉄筋はコンクリートと一体化することではじめて鉄筋コンクリートとなります。したがって、適切に一体化がなされていないと強度のある鉄筋コンクリートを形成することができません。また、鉄筋が途切れる部分においては特に注意が必要です。このような部分は建物内の各所にあるのですが、鉄筋を途切れさせたままでは適切な一体化がはかれなくなってしまうため、鉄筋にフックをつけたり、延長するなどして、より強固に一体化させているのです。この延長部分などを定着長さといい、例えば、壁に画鋲を刺した時に、少しだけ刺したときと奥までしっかりと差し込んだ時では抜きやすさが異なると思います。鉄筋とコンクリートの関係も同様で、しっかりとした定着長さが確保されていないと引き抜けが発生してしまう危険性があります。こちらも鉄筋本数と同様に、建物の設計者により考え方が違うこともあります。これらの部分において、よく確認しないまま「いつも通り」に工事を行なってしまうと、思いもよらぬところで「手抜き工事」になってしまう可能性があります。

鉄筋の継ぎ足し(圧接)部分の不良

鉄筋は1本あたりの長さに限界がありますので、何本かを現場でつなぎ合わせて、1本の鉄筋にしてあげる必要があります。このつなぎ合わせは、鉄筋径の太い鉄筋、特に柱・梁などで行う必要があり、例えば柱の場合では各階ごとに鉄筋のつなぎ合わせ作業がほぼ必ず発生します。このつなぎ合わせはガス圧接といい、ガス火で鉄筋を熱して、圧力をかけながらくっつける作業になります。この作業は現場で行われる作業ですから、雨・風がある時には作業不良になりやすい欠点があります。そのような天候の場合には作業を中止する、もしくは適切な防護設備を設置するのが一般なのですが、予算や工期の問題で雨・風にさらされながら作業を継続してしまう場合もあります。圧接作業に不良が生じてしまった場合、鉄筋の強度が不足してしまうこともあり、非常に危険であると言えるでしょう。ただし、強度が不足してしまうことはよほどずさんな作業がなされない限りは発生する可能性は低いです。ここで注意いただきたいのは、この作業を雨中で行なっていることがわかった場合は、他の工程においても予算や工期を優先して作業がなされている可能性がある点になります。

コンクリートの充填不良

コンクリート密実に打ち込まれることで強度が発揮されるのですが、打ち込みの方法や鉄筋などに阻害されることにより、密実に充填されず、隙間などが発生してしまうことがあります。この場合、適切に補修がなされれば建物の強度には影響がありません。しかし、補修の方法に手抜きがあった場合、特に大きな不良の場合は非常に危険であると言えます。一般に、不良部分をはつりとって(取り除いて)から補修を行うのですが、不良部分を取り除かずに、そのまま補修を行なってしまう場合も多々あります。そうなると、補修で回復されるはずの強度が回復されないため、危険な状態のままになってしまうのです。

コンクリート打設時の天候

コンクリート打設とは、現場で組み立てた鉄筋入りの型枠の中に、生コンクリートを打ち込む作業のことをいい、雨が降っているのにこの作業を行なっていたら要注意です。生コンクリートはセメント量と水分量などを要求された強度に達するようにそれぞれの量を計算して配合しています。つまり雨が入り込むことによって、水分量が計算よりも多くなってしまい、所定の強度を得る事ができなくなる可能性があります。また、このようなことが行われるということは「工期・コスト優先」な業者である可能性が高く、他の場所においても「手抜き工事」を行う可能性があると言えるでしょう。

コンクリート打設後の型枠脱型(取り外し)時期

コンクリートを打設した後、型枠を取り外すには適切な養生期間を設けなければなりません。これは、公共建築工事標準仕様書(公共建築工事で用いる基準)では以下のように定められています。

平均気温基礎・梁側・柱・壁スラブ下梁下
15℃以上3日17日28日
5℃以上5日25日28日
0℃以上8日28日28日
コンクリートの圧縮強度による場合5N/㎡以上設計基準強度の85%以上、または、12N/㎡以上※設計基準強度以上※

※かつ、施工中の荷重や外力について、構造計算により安全であることが確認されるまで。

ここで知っておいていただきたいのは、この日数に満たない場合であっても取り外しを行うことができる点です。ただし、それを行うには、コンクリートの供試体(サンプル)の圧縮強度試験を行なって、上記の基準強度を超えていることを確認する必要があります。なお、この供試体は現場でコンクリートを打設している時に生コン車から抜き取り(サンプリング)をしたものを現場で水中養生したものである必要があります。これらはしっかりとした業者であれば自主的に行なっていますが、手抜きを行うような業者はこの手間を省き、何の確認もなしに型枠を取り外していることがあります。

手抜き・欠陥を見抜くポイント

上記の内容は工事が進んでしまうと見えなくなってしまったり、こちらから確認を行わないと見抜けなかったりするものが多いです。そのため、どんな確認を行えばいいのかを知っておく必要があると言えるでしょう。

鉄筋本数の不足

管理がしっかりとしている設計事務所や不動産会社の場合、構造上重要になる柱や梁の全ての箇所で鉄筋本数の工事写真を撮影するよう求めることがあります。写真と設計図を全て見比べることは難しいと思いますが、写真が残っているということは信頼性が多少向上すると考えられます。そのため、まずは写真が残ってるか、撮影しているかを確認してみるとよいでしょう。

鉄筋のかぶり厚さの不足
鉄筋の定着長さの不足
コンクリートの充填不良

正直な話、これらの欠陥については見抜くのが難しいです。こちらは現場および工事を第三者的に監理する監理者を信用するしかないでしょう。ですが、他の項目の内容がずさんであった場合、信頼できるとは言い難いので、他の項目もしっかりとしている業者を選ぶとよいでしょう。

鉄筋の継ぎ足し(圧接)部分の不良

こちらは検査を行うことが義務付けられているので、検査結果を確認するとともに、作業時の写真を確認するとよいでしょう。写真に雨が写っていた場合は注意が必要と言えます。ただし、雨が弱い時などを見計らって写真を撮影している可能性もあるため、気になる方は作業時の日付を過去の天気予報と照らし合わせてみるとよいでしょう。

コンクリート打設時の天候

こちらも作業時の写真を確認し、雨であった場合には要注意であると言えます。こちらも雨が弱い時などを見計らって写真を撮影している可能性もあるため、気になる方は作業時の日付を過去の天気予報と照らし合わせてみるとよいでしょう。

コンクリート打設後の型枠脱型(取り外し)時期

型枠脱型時にコンクリート強度を確認するのが一般的ですので、試験結果が残っているか確認を行うとよいでしょう。ただし、試験を行うよりも前に作業を行なっている可能性もあるため、作業日報などを確認し、作業開始日と試験日の整合性が取れていることを確認するとよいでしょう。

まとめ

  • 手抜き・欠陥は建物の性能に大きな影響を与える
  • 手抜き・欠陥を素人が見抜くことは難しい
  • 見抜くには写真・検査結果・作業日報などを確認し、整合性を確認するとよい
  • 整合性が取れていない業者は信頼できない