土地・建物の相続について

土地・建物の相続について

円滑に相続を行うためには、様々な決定を短期間のうちにこなしていく必要があります。そのため可能な限り下調べを行い、どういった動きが必要なのかを把握しておくことが望ましいです。そこで今回は、土地や建物の相続についてお話したいと思います。

相続時には不動産にも税金かかる?

親や配偶者から資産を相続する場合には相続税などの税金が発生します。ここでいう資産には土地や建物も含まれており、自宅であっても例外ではありません。

相続時に発生する税金

では具体的にどんな税金が発生するかというと、登録免許税と相続税が発生します。登録免許税とは、土地や建物の所有者を変更する登記を行う際に発生し、相続税はいうまでもなく、遺産を相続した際に発生するものです。

登録免許税は免れることはできませんが、相続税に関しては一定の金額以下であれば免除される制度もあります。

登録免許税の金額

登録免許税は固定資産税評価額の0.4%の額が税金として徴収されます。なお、固定資産税評価額とは市町村などの各自治体が定めるもので、実際に取り引きされている実勢価格とは異なります。

具体的には、以下の割合が固定資産税の目安と言われています。

  • 土地 時価の60~70%
  • 建物 建築費の50~80%

なお、マンションの場合には上記の金額にマンションの持分を掛け合わせた金額となります。

各自治体に問い合わせを行えば詳しい金額を知ることができますので、確認してみるとよいでしょう。ただし、固定資産税評価額は毎年見直しがなされますので、確認した日付けによっては実際の金額と異なる場合がありますので注意が必要です。

相続税の金額

相続税の金額は相続する資産額によって税率が異なる制度が用いられています。この相続税は資産額が多ければ多いほど割合が大きくなり、最小10%から最大55%と非常に影響の大きいものとなっております。

資産額の算定にあたっては、現金や株などの金融資産に土地・建物の不動産評価額から借金などのマイナス資産や葬儀費用、および基礎控除を引いたものが課税遺産総額となり、その金額からさらに控除を差し引き、割合を掛け合わせたものが最終的な相続税額となります。

なお、上記の場合は個人一人が相続する金額であり、複数人で資産を分け合う場合には、課税遺産総額に個人の分配割合を掛け合わせた金額が個人あたりの課税遺産額となります。

  • 現金・株 + 土地・建物評価額 − 借金 − 葬儀費用 −基礎控除 = 課税遺産総額
  • 課税遺産総額 × 個人の分配割合※ = 個人あたりの課税遺産額
  • (個人あたりの課税遺産額 − 控除額) × 相続税率 = 相続税額

※個人の分配割合は遺言状などによらない場合、以下の割合で分配されることとなります。

①相続人が配偶者と被相続人の子供⇒配偶者2分の1、子供2分の1

②相続人が配偶者と被相続人の父母⇒配偶者3分の2、父母3分の1

③相続人が配偶者と被相続人の兄弟⇒配偶者4分の3、兄弟4分の1

なお、子供、父母、兄弟がそれぞれ2人以上いるときは、原則として均等に分配されます。

出典:民法900条

不動産の評価額

土地や建物の評価額は固定資産税評価額とは若干異なる算出方法が用いられます。

具体的には以下のとおりとなります。

土地の場合

土地の場合には主に路線価方式と倍率方式の2種類の算出方法があり、これらは路線価が設定されているか否かによって用いられる方式が異なります

路線価方式

道路には路線価という、土地の評価額が定められており、路線価方式は土地と接する道路の路線価に土地の面積を掛け合わせたものが土地の評価額になります。

なお、接する道路の数が二つ以上の場合や土地の形状が複雑な場合には補正が行われ、適切な額で評価が行えるようになっています。

倍率方式

田畑や山林、一部の宅地などの、上記した路線価が設定されていない土地の場合には、登録免許税の部分で紹介した土地の固定資産税評価額に地域や土地の種類による掛け率を掛け合わせたものが評価額となります。

建物の場合

建物の場合は登録免許税の部分で紹介した建物の固定資産税評価額がそのまま建物の評価額となります。

基礎控除

基礎控除とは、課税対象となる遺産の総額から一定額までは課税を免除する制度のことで、遺産を相続する全ての人がこの制度を利用することができます。基礎控除額は遺産を相続する人数により変動し、具体的には以下のとおりとなります。

  • 3,000万円 + 法定相続人の数 × 600万円

つまり、法定相続人が配偶者のみであれば3,600万円、配偶者と子ども一人であれば4,200万円が課税対象から控除されることとなります。

なお、この控除は法定相続人の数が対象であり、実際に何人が相続したかは問題ではありません。例えば法定相続人が配偶者と子ども一人である場合に配偶者一人が相続したとしても上記した4,200万円が基礎控除ということとなります。

相続税率と控除額

相続税率と控除額は下表のとおり定められております。

法定相続分に応ずる取得金額税率控除額
1,000万円以下10%
3,000万円以下15%50万円
5,000万円以下20%200万円
1億円以下30%700万円
2億円以下40%1,700万円
3億円以下45%2,700万円
6億円以下50%4,200万円
6億円超55%7,200万円

出典:国税庁HP

自宅の場合には特例制度あり

実際に居住されている自宅の場合には、相続税が支払えず、住む場所を奪われてしまうことを防ぐために、小規模宅地等の特例と呼ばれる土地の評価額を80%分減免(減免される土地の面積は330㎡※まで)できる制度があります。

具体的には以下の条件に適合した場合に対象となります。

遺産を残した方と同居していた場合

  • 6親等以内の血族、配偶者、3親等以内の姻族であること

遺産を残した方と同居していない場合

  • 遺産を残した方に配偶者がいないこと
  • 過去から現在まで持ち家を所有したことがないこと
  • 相続開始前3年以内に3親等内の親族またはその者と特別の関係のある法人が所有する国内にある家屋に居住したことがないこと

※相続人一人あたりの面積で、複数人で土地を分筆して相続する場合にはそれぞれで330㎡まで減免対象となります。

相続放棄

相続権が発生した不動産について、相続したとしても使い道がなく、固定資産税を毎年徴収されるだけの負の遺産となることが想定される場合には、相続を放棄するという選択肢も存在しています。一度相続してしまった土地は放棄することができませんので、放棄するのであれば相続のタイミングしかありません。

ただし、相続放棄には以下の注意点があります。

  • 相続放棄した場合、他の資産や負債も全て放棄される
  • 相続放棄したとしても土地や建物に次の所有者が現れるまでは注意義務や管理業務が相続の対象となっていた方に発生する

つまり、相続を放棄した場合には資産関係としては完全に無関係な状態となり、固定資産税などの支払いは免れますが、不動産が近隣などに悪影響を与えないよう管理する責任だけは残るということです。

まとめ

相続については個人で対応することも可能ですが、非常に多くの時間を割かなければならないため、あまりオススメはできません。また、相続人が複数人いる場合には第三者に入ってもらい適切に処理することで後々の問題が少ないと考えられます。

上記した内容は相続を円滑に進めるための参考知識として、詳細は専門家に任せることが最善であると考えます。

なお、不動産の相続に強い専門家は以下のサイトでご紹介しています。不動産を相続される方は一度ご覧になっていただければと思います。